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2020.07.02

天地を分けた9.7秒 強敵大阪を追い詰めた初のプレイオフ

一滴のしずくはやがて川になり、大きなうみを形成する。滋賀レイクスターズもそうやって、故郷やバスケットを愛する者たちによって形を成してきた。この連載では、そんなバスケットマン(B-MEN)のサイドストーリー(B面)を軸に、レイクスの軌跡をひもといていく。

(構成・文:白井邦彦)

【B-MEN/B面】
第四回:2009-2010ロスター
PLAYOFF CONFERENCE SEMIFINALS
滋賀レイクスターズ vs. 大阪エヴェツサ

 

追い詰めた

2010年5月15日。bjリーグ参入2年目の滋賀レイクスターズは、初のプレイオフに挑んだ。相手は、3度のリーグチャンピオンを誇る大阪エヴェッサ。2勝した方が、ファイナル4(東京・有明コロシアム)へ進出できる。歴史的な瞬間を見届けようとアウェイ神戸ワールド記念ホールには、リーグNo.1(ベストブースター賞)に輝いていたレイクスブースターをはじめとした約300人(2日のべ約600人)が詰めかけた。
また、びわ湖放送(BBC)が滋賀県内向けに特別生中継も実施。プレイオフ特別協賛として50社以上の企業がCMや社名掲示協賛で応援してくれるなど、まさに湖国一丸でプレイオフに挑んでいた。

第1Qは大阪に5点リードを許したものの、第2Qでレイクスは逆転に成功した。エースのマイキー・マーシャルと、リバウンド王ゲイリー・ハミルトンが立て続けにダンクをかまして勢いに乗ると、小川伸也が3P、3P、2Pと連続ショットを決めて試合をひっくり返した。第3Qもレイクスが流れを逃さず、城宝匡史のブザービーターまで飛び出して53-46。リード7点という理想的な形で第4Qを迎えた。

ここまでに紆余曲折があった。シーズン前半はキャプテン藤原隆充が自由奔放な城宝に手を焼き、ゲイリーやボビー・ナッシュら外国籍選手のプレーには波があった。結果が出ない中で、ロバート・ピアスHCと選手たちとの溝は深まった。そんな時、マイキーがレイクスにやってきた。躍動感のあるプレーだけではなく、彼の陽気なキャラクターはチームを明るくし、結果も出るようになった。徐々にチームは一つになっていき、今、初のプレイオフで大阪を追い詰めている。勝てる。会場に漂う希望の空気が、まさか悪い方向に向かおうとは誰も想像していなかった。

天地を分けた9.7

第4Qはどこかおかしかった。マイキーがフリースローを外し、インサイドを支配していたゲイリーが存在感を消した。大阪のゾーンディフェンスを攻略できないまま、気がつけば約8分間も無得点だった。その間に大阪にじわじわと点差を詰められ、逆転を許した。残り30秒でマイキーがフリースローを決めてレイクスが再逆転に成功したものの、すぐさま大阪の大黒柱リン・ワシントンに決められて同点に。勝利の行方が読めない中、残り9.7秒でレイクスがフリースロー2本のチャンスを得た。
スロワーは、シーズンを通して勝負強さを見せていたクリス・シュラッター。1本目を確実に沈め、レイクスが1点リードした。次の1本を決めれば、大きく勝利へと近づく。外しても、リバウンドを抑えればほぼ勝利が決まる。この状況でクリスの2本目は外れた。弾かれたボールは、大阪のワシントンに抑えられ、ドライブから強引に放たれたショットはバスケットに吸い込まれた。大阪が土壇場で逆転に成功。その直後に無常のブザーが会場に響き、大阪の選手たちが喜びを爆発させ、レイクスの選手たちはただ呆然とコートの上に立つしかなかった。
翌日の第2戦も落としたレイクスの2年目はあっけなく幕を閉じた。だが、大阪を最後の最後まで追い詰めたこの一戦は、今も色褪せることなくブースターやファンの間で語り継がれている。城宝が「チャンピオンシップを狙えたチーム」と賞賛し、キャプテン藤原が「このチームでもう1年やりたい」と切望した2009-2010シーズンのロスターは魅力的なチームだった。(文中敬称略)

<2009-2010 SEASON>
ウェスタンカンファレンス4位(29勝23敗)
HC:ロバート・ピアス
♯1:マーキー・マーシャル
♯2:ゲイリー・ハミルトン
♯3:小島佑太
♯4:クリス・シュラッター
♯5:小川伸也
♯8:堀川竜一
♯9:佐藤浩貴
♯11:藤原隆充(キャプテン)
♯12:石橋晴行(AC兼選手)
♯23:マイク・ホール
♯31:城宝匡史
♯33:ボビー・ナッシュ
♯40:ルーク・ゼラー
♯45:レイ・シェファー

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