2019.12.20
[準硬式野球]京都先端科学大学 林 和希
投手として再起を誓う舞台裏に100回目の夏のドラマあり
京都先端科学大学準硬式野球部が、関西代表校の一つとして今年9月の「清瀬杯第51回全日本大学選抜準硬式野球大会」に出場し、ベスト8に入った。ケガの影響で出場機会は少なかったものの、昨夏まで八日市高校硬式野球部のキャプテンを務めた林和希(大学1年)もその一員として名を連ねた。
「小学生の頃から野球をやってきて、初めての全国大会でした。でも、あまりチームに貢献できなかったので、来年こそは頑張りたい。できれば、高校2年以来の投手としてマウンドに立ちたいと思っています」
林は高校2年の滋賀県高野連秋季大会でベスト8に入った。投手でキャプテンの大黒柱としてチームを引っ張った。次の夏はもっと上を狙える。そう思った矢先に、利き腕の左肘を痛めてしまった。
「肘の靭帯か神経か、原因がわからないまま痛みが残った。投げられないもどかしさと、キャプテンなのに…という不甲斐なさがあって、気持ちの面で苦しい時期もあった。でも、ここで野球を諦めたら絶対に後悔すると思って、外野手へのコンバートを受け入れてでも野球を続けたいと思った。
そして迎えた高校最後の夏。記念すべき「第100回全国高等学校野球選手権滋賀県大会」の抽選会で、林は近江兄弟社との対戦カードを引いた。シード校とのいきなりの激突。林は「ヤベっ」と思ったが、同時に「アイツと対戦できる」という喜びもこみ上げてきたと話す。
「近江兄弟社のキャプテンは小学校の時の野球仲間。親の仕事の関係でタイに引っ越しましたが、年代別のタイ代表に選ばれるなど活躍していました。彼からは大きな刺激をもらってきましたし、絶対に負けたくないライバルでもある。対戦できてうれしかったです」
結果は1-4で林の負け。悔しさはあったが、清々しさのようなものもあった。唯一悔いが残ったのは、ピッチャーとして彼と勝負できなかったことだった。
大学で準硬式野球の道を選んだ林と、関西大学硬式野球部に所属するライバルが大学4年間で対戦する機会はない。それでも林は「リハビリを続け、マウンドに立ちたい」と思っている。夏の奇跡と苦い思いが、林を突き動かしている。
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林 和希
京都先端科学大学
Profile/はやし・かずき。2000年6月5日生まれ、彦根市出身。佐和山小学校、彦根市立東中学校、八日市高校を経て京都先端科学大学へ。野球を始めたのは小学3年生。高校2年時には滋賀県秋季大会でベスト8入り。昨夏の第100回全国高等学校野球選手権滋賀県大会は2回戦(初戦)敗退。大学では準硬式野球部に所属。左投げ左打ち。173㎝、71㎏。