2019.11.02

【高校特集】[ビームピストル]水口高校 ライフル射撃部 山森月乃

滋賀の誇りを胸に戦った顔。これから始まる冬決戦の顔。湖国を離れる道を選んだ顔。
輝く高校生たちの心に迫る。

練習では、あえてマイナス思考。メンタルを鍛えて、ついに頂点。

苦しい練習の先にあった”ゾーン”という新境地

「後ろを振り返ったら、先生や仲間たちが応援してくれていた。決勝は楽しく競技をできました」

10月の茨城国体少年女子ビームピストルで初優勝した水口高校の山森月乃(3年)は、笑顔で大会を振り返った。2位との差が開いていたことで心に余裕が生まれ、楽しく競技ができたのかもしれない。だが、最大の理由はおそらく開放感だろう。9月上旬のJOCジュニアオリンピックカップで4位に終わった後、山森は自分をとことん追い込んできたと話す。
「永野(智)先生からは常に”いつも通り”競技しようと言われる。でも、これが一番難しい。特に射撃はメンタルが大事で、弱気になったらすぐに点数が悪くなる。だったら、練習で常にネガティブな事を考え続け、そのプレッシャーに耐え続ければ、本番ではどんな場面でも動じないんじゃないかと考えた。これ外したら予選敗退とか、マイナスのことだけを考え続けた。毎日、しんどかったです」

そんな苦しい1ヶ月を乗り越えた山森は、国体で不思議な感覚で競技できたと言う。
「試合をしているというよりは、単純作業を繰り返している感覚。こう撃てば10点が取れるとわかっているので、それをただ繰り返しているだけ。後からみんなに”それ、ゾーンちゃう?”と言われた」

極度の集中で無心になり、最高のパフォーマンスを発揮する状態を「ゾーン」と呼ぶ。山森は、極限のマイナス思考を乗り越え、ゾーンに入った。国体初優勝の裏には、そんな奇跡のドラマがあった。

山森 月乃

水口高校 ライフル射撃部

Profile/やまもり・つきの。2001年9月2日生まれ、甲賀市出身。伴谷東小学校、城山中学校を経て水口高校へ。現在3年。高校からライフル射撃とビームピストルを並行して行ってきた。高校2年の国体では少年女子ビームピストルで5位。高校3年のJOCジュニアオリンピックカップ同種目4位、そして今年の茨城国体では同種目で初優勝。165㎝。

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