2019.10.12
【B.LEAGUE開幕特集】デニス体制3季目が目指す景色
ショーン・デニスが滋賀レイクスターズの外国人ヘッドコーチとして最長の3季目の指揮を執る。
昨季終盤に「理想に近い」バスケを体現した主力の多くが残留し、力強い新戦力も得た。
今季は智将の理想が実現するか。
ウイニングカルチャー構築
「今シーズンは今まで以上に高いポテンシャルを秘めた選手が集まった」開幕が近づき、様々な取材を受けるデニスは、今季のメンバー構成について問われると決まってこう答える。
有望な選手のリクルーティングに成功したことはもちろんだが、その集まった新戦力たちがアルバルク東京、シーホース三河、川崎ブレイブサンダースといった、リーグ屈指の強豪チームから加わったことが大きい。指揮官が求めていた「ウイニングカルチャー」の注入が期待できるからだ。
「レイクスに初めて来た時に感じたのは、コート上の文化が醸成しきれていないということだった。選手の意欲、体のコンディショニングでも、上位チームに劣っていると感じた。1年目はコート上の選手の取り組み方、態度を変えるように努め、全体的にそこは成功した」とデニスは回想する。
だが、一筋縄では行かなかった。2季目へ移行する際に、デニス体制初年度を牽引した並里成(琉球ゴールデンキングス)やファイ・サンバ(サンロッカーズ渋谷)が流出。さらに飛躍を期待した佐藤卓磨が不祥事で出場停止を受けたことで、構想は大きな変更を余儀なくされた。
「資金力のあるクラブとリクルートで競い合うのは困難なのが厳しい現実だ。それでも、この2年間でたくさんのことを学んだ。大事なのは選手から『レイクスでやりたい』と言われるようなチーム文化を作っていくことだ」。
アシストでトップのチームへ
昨季終盤に快進撃を見せたレイクスは、リーグを見渡しても異例の「スモールラインナップ」を組んだ。外国籍選手を含めたベンチ入りメンバー全員が2mを下回るのはB 1ではほとんど例がない。だが、速いパス回し、統率の取れたディフェンス、積極的なリバウンドは相手チームを圧倒し、B1残留の大きな要因となった。
今季は203cmのチャールズ・ローズ、2 0 5 c mのシェーファーアヴィ幸樹が加わったことで大型化したが、デニスが目指すバスケの理想は昨季終盤のような「スモールバスケ」にある。
「スペーシングを上手くとり、コートに立っている全員が止まる事なくボール動かしながらリングにアタックするバスケットをする。ディフェンスでは今までと違うスタイルを取り入れた。スリーポイ
ントは昨季よりもさらに良くなるだろう。チームアシストがリーグトップに入るようなチームを作り上げたい」
その基盤となるフィジカルのパワーアップにも余念がない。今季はN B Aクリーブランド・キャバリアーズで優勝経験もあるコンディショニングのスペシャリスト、中山佑介氏がチームのトレーナー陣に監修的な立場で加わった。デニスは「コンディショニングでリーグトップのチームになる」と目標を掲げ、クラブ方針もあり昨季からの残留選手たちは5月から継続的なトレーニングを続けてきた。中山氏も「こんなに理解のあるコーチはなかなかいない」というほど、選手の体力強化には力を入れてきた。
”タグチーム”でCS目指す
「選手層が厚くなったので、休む事なく代わる代わるアタックし続ける『タグチーム』の精神でプレーをしていきたい。そうする事で得点能力も上がり、ディフェンスで相手に多くのプレッシャーをかけられるようになる。それがうまくいくために重要なことが”団結力”。もう少し時間がかかるかもしれないが、我々は素晴らしいチームになれる。ワクワクしている」
3 年目を迎えるデニス体制。その先にチャンピオンシップの景色が見えてくるはずだ。