2019.08.09

[野球]近江高校 硬式野球部

もう一度、あの場所へ戻る。強い気持ちでつかんだ夏切符。

昨夏の甲子園準々決勝・9回裏。 近江高校は金足農業高校にスクイズで2点を許し、サヨナラ逆転負けで大会を去ることになった。
「あの悔しさは甲子園でしか晴らせない」。 当時2年生だったエース左腕・林優樹(3年)はこの1年、その想いを胸に12分間走(約3.5キロ)や1日150球の投げ込みなどを繰り返し、自分を追い込んできた。

だが、今春のセンバツ大会は出場を逃した。 その悔しさは、春季近畿大会を17年ぶりに制したことで和らいだが、逆に近畿王者の称号が夏の滋賀県大会でナインたちの重圧になった。

それでも近江は初戦の膳所高校戦を8-0で制すと、順調にトーナメントを駆け上がり、6年連続21回目の決勝戦へと駒を進めた。 決勝の相手は、プロ注目のエース右腕・吉田力聖(3年)を擁す光泉高校。 8回表までスコアボードに”0”が並ぶ投手戦となった。

そして8回裏、近江の攻撃。 1番打者の土田龍空(2年・米原中学/湖北ボーイズ出身)が出塁すると、それを3番打者の住谷湧也(3年・栗東西中学/滋賀栗東ボーイズ出身)がタイムリーヒットでホームへ返し、ついに近江が先制点。 結局、滋賀ホットラインで奪ったこの1点を近江が守りきり、2年連続14回目の夏切符を手にした。

昨年の甲子園でも林とバッテリーを組んでいた主将の有馬諒(3年)は 「滋賀大会では林から笑顔が消えていた。 相当なプレッシャーだったと思う」 と打ち明けた。

5安打完封で光泉打線を抑えた林は 「春の近畿大会で優勝し、滋賀では勝って当たり前。 そんな周りの雰囲気が大きなプレッシャーになっていた」 と振り返る。

試合後、重圧から解放された林はベンチで喜ぶ仲間たちの顔を見て溢れる涙を抑えきれなかった。

号泣する林のもとへ、多賀章仁監督が歩み寄り 「ありがとう」 と声をかけた。 「昨年の甲子園で敗れてから、林がどれだけ努力をしてきたかはわかっていた。 自然と”ありがとう”という言葉が出た」。 名将の頬にも輝くものが伝っていた。

8月6日(火)から始まる”101回目の夏”では、どんなドラマが待っているだろうか。

近江高校 硬式野球部


Team Profile/1957年創部。部員107人。甲子園出場は春5回、夏は13回(今回で14回目)。2001年夏に甲子園準優勝。昨年は記念すべき夏の第100回大会に出場。快進撃を見せたが準々決勝(ベスト8)で涙を飲んだ。連覇がかかる今年の滋賀県大会は、エース林優樹が尻上がりに調子を上げて頂点に。OBには植田海(阪神)や京山将弥(DeNA)らプロ野球選手も。

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