2019.03.01Kenji Omiya

“二桁”狙う攻撃型司令塔に / #13 中村功平

 ルーキーには “化ける”瞬間がある。それだけに、彼らの成長を見守るのは、ファンの楽しみの一つでもある。今シーズンの滋賀レイクスターズにとって、その視線の的は特別指定選手の中村功平だ。

2月、アルバルク東京戦とのアウェーゲーム第2戦。前年王者を終盤に一時3点差まで追い詰めた試合で、レイクスのショーン・デニスHCが4Qの10分間でPGとしてコートに送ったのは背番号13だった。中村は2本の3P成功を含む8得点。相手のパスをスティールし、速攻からアシストを決める見せ場もあった。
「前日の試合も接戦でしたが、4Qに使ってもらっていました。『やばい』という感覚はなくて、『今日はできる』という気持ちだったので、積極的にプレーできました」と、自信をつかむ一戦となった。
中央大でのシーズンを全うし、レイクスに加入したのが昨年11月末。その約1週間後には天皇杯・秋田ノーザンハピネッツ戦でデビューし、3Pを2本決めて6得点。翌週のホームゲームでも活躍したことで期待は一気に膨らんだ。
だが、プロの壁を痛感したのはここからだ。次の大阪エヴェッサ戦ではPG2人をけがで欠くチーム事情から約20分出場したが、得意の3Pは0/4。相手に何もさせてもらえず「怖さを感じてしまった」。そこからしばらくの試合は、持ち味の積極性がなりを潜めてしまった。

思い知ったプロの厳しさ

 転機は昨年末、同じ大阪戦。中村は遠征メンバーから外された。「ベンチは当たり前に入れると思っていました。それが外されて…ちゃんとやらないといけないと思い直しました」。直後の千葉ジェッツ戦で3Pを決めることができたため、心構えの大切さを知ることができたという。
 1月まで学業との兼ね合いで東京と滋賀の往復生活。授業や試験で練習を欠席することもあった。緻密なプロの戦術に対応できず苦悩した時期だ。だが、学業に区切りがついた2月からは腰を据えてバスケに集中。戦術理解も深まり思い切ってプレーできるようになった。
 「プロは、1人でもチームディフェンスで指示通りにできないと、全体が崩れてしまう。オフェンスも臨機応変に判断する必要があります。学生時代はビデオを見返すことはほとんどありませんでしたが、今は毎日のように見ています」。

 SGでなく、PG一本で勝負

 登録上ではPGとSGだが、「SGは外してもらいたいと思っています。このサイズだと、PGでないと上では勝負できない。二桁得点を取れるPGになることが目標です」と決めている。手本にしているのはNBAならカイリー・アービング(セルティックス)、日本なら昨季までレイクスに所属した並里成(琉球ゴールデンキングス)。中村が覚醒すれば、レイクスに頼もしい攻撃型司令塔が誕生する。

中村功平

滋賀レイクスターズ

1996年9月16日生まれ、山口県出身。ミニバス時代に全国3位、山口県立豊浦高時代にウインターカップ出場。中央大4年で関東大学選手権準優勝し、3P王を獲得。U-18日本代表、U-22日本代表候補選出経験を持つ。180cm/80kg。

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