2018.12.01

[ボウリング成年男子団体(4人チーム戦)]伊吹太陽・千葉鉄也・池本雅尚

変化するレーン状況を読む力がカギ。国体5位という快挙の裏側に迫る。

「ボウリングはレーンに塗られたオイルの量と長さを”読み合う”スポーツです」

ナショナルチームでも活躍した大津市出身の千葉鉄也(日本郵政)はそう話す。 大会毎にレーンに塗られるオイル量と距離が異なり、ボウルの曲がり方や曲がり始める位置が変わるという。 その変化は、ゲーム中にも起こる。 ボウルの試投数に応じてオイルが間延びするからだ。 つまり、その時々のレーンコンディションを読み合うのがボウリング競技だと千葉は言う。
「1ゲーム200点を一つの基準点として試合は進みます。 レーンの状態に対応し、少しでも200点より上を目指します」

基準点が200点というハイスコアなのも驚きだが、勝敗がオイルの読み合いで決まるという時点でレジャーのボウリングとは一線を画している。もはや別世界だ。

そのボウリングで、滋賀選抜チームがこの秋に大健闘した。10月の福井国体・成年男子団体戦(4人チーム戦)で5位に入賞したのだ。

メンバーは千葉、岡山商科大学の藤原智也、チーム最年長の池本雅尚(むれやま荘)、そしてキャプテンの伊吹太陽(ユーイング)。 最後まで集中を切らさず 「粘り強く戦えた」と伊吹は話す。
「団体戦は、チームの足をひっぱりたくないといったネガティブな思考が働くため、個人戦では取れるピンを外すこともある。 キャプテンとしては、みんなをどうやってポジティブな気持ちでプレーさせられるかがポイントでした。 声掛けのタイミングはもちろん、掛け方にも気をつけました」

例えば、ミスした後、すでに気持ちを切り替えている選手に”どんまい”と声をかけても効果は逆。”分かってる!”と気持ちを逆なですることもある。 顔色やゲーム状況を見ながら、ベターな声掛けを心がけたという。
「自分で言うのもなんですが、チームとしていい雰囲気は作れたと思う。 それが粘りのある戦いにつながったと思います」(伊吹)

4人チーム戦は、予選と決勝を合わせて2日間で1人6ゲームを行う。 順位はその4人分の合計で決まる。 最終スコアは5065点という高得点。 だが、悔しさも残ると最年長の池本は話す。
「初の国体入賞はうれしかったです。 でも、決勝の5ゲームが終了時点では4位につけており、点差でも優勝を狙える位置でした。 それを考えると悔しさも残る。 ただ、国体5位に入ったことで…、こうやって取材もしてもらえますし、競技普及の面では大きいです」

悔しさはあれど、うれしさの方が優った今年の秋となった。

<ユーイング>伊吹 太陽


Profile/いぶき・あつし。1993年1月19日生まれ、彦根市出身。ユーイング勤務。2015年、2016年ナショナルチームメンバー。2016年アジア選手権(チーム戦)優勝に貢献。国体滋賀選抜の主将。

<日本郵政>千葉 鉄也


Profile/ちば・てつや。1994年3月19日生まれ、大津市出身。日本郵政勤務。2011年〜14年ナショナルチームメンバー。2011年アジアスクール選手権出場。2014年世界ユース選手権(団体戦)3位ほか。

<むれやま荘>池本 雅尚


Profile/いけもと・まさたか。1988年7月8日生まれ、大津市出身。滋賀県立むれやま荘勤務。小学2年の時にボウリングに出会い、中学1年から本格的に競技を始める。今年の国体5位入賞に貢献。

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