2018.05.05
[パラ競泳]大津イトマン/滋賀友泳会 井上舞美
東京パラを目指す19歳スイマー。コーチの”カミナリ”で内面成長!?
「今年1月の千葉の大会で、だいぶ怒ったんです(笑)」
パラ競泳の 「滋賀友泳会」 で、井上舞美を指導する青谷大地コーチは、にこやかにそう話した。 もちろん”怒った”当時は鬼の形相で。 「途中で勝てないと思ったのか、レースを諦めたんです。 日本代表に選ばれるような立場なのに、それはダメやろと。 この失敗を忘れないように、反省文も書いてもらいました」と振り返った。
その後、井上は改心し、勤務先の大津イトマン・濱田和哉所長は 「なるほど。 それで最近は目の色を変えて、仕事も練習も頑張っているんかぁ(笑)」と、変に納得した様子。 わざと”カミナリ”を落とすコーチ、成長を見守る上司という理解者に囲まれて、井上は水泳を続けている。
井上は、子供の頃から注意欠陥・多動性障害と呼ばれる脳の発達障害と向き合ってきた。 集中力が続かず、落ち着きがないなどが特徴で、先述のように稀に集中力を切らしてレースを放棄することもある。 身体能力は6つの日本記録を持つことでもわかるように国内トップレベル。 課題は内面の成長にあるようだ。
練習は週5日、大津イトマンでの業務(コーチ補助)が終わった後に1日4〜5㎞ほど泳ぐ。 目標は2020年の東京パラリンピック。
「東京パラに向けて、体幹トレなどももやっています。 あと大好きなケーキもセ〜ブ…(笑)」 と、茶目っ気たっぷりに話す。 そして 「もう反省文は書きたくないので…ちゃんと泳ぎます(笑)」 と続けた。
6月には、アジアパラリンピック競技大会( 10月・ジャカルタ)の代表選考レースを兼ねた 「日本知的障害者水泳選手権大会」 を控えている。8月には 「2018パンパシフィックパラ水泳選手権大会」 もある。 大舞台が続く井上に反省文を書いている時間はなさそうだ。
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井上 舞美
大津イトマン/滋賀友泳会
Profile/いのうえ・まみ。1999年1月19日生まれ、守山市出身。守山市立吉身小学校、守山中学校、愛知高等養護学校を経て、昨年から大津イトマンに勤務。兄の影響で4歳から守山イトマンに通い、高校2年時には全国障害者大会(少年の部)の25mバタフライ、50m自由形で優勝。現在、短水路の25・50・100mバタフライ、100・200m個人メドレー、長水路の200mバタフライの6種目で日本記録を保持している。