2025.01.01

近畿ユースで一気に覚醒した2人。次はインターハイでの活躍を狙う。

しがたんは〝短距離も〞強い

 滋賀短期大学附属高等学校の陸上競技部と言えば、1500mや駅伝といった長距離が強い印象がある。

 だが、2024年度の県秋季総体では男子100m、200m、400mで優勝者を輩出(200mはタイムレースで1位)。〝長距離の〞というイメージを覆し(限界突破)、〝短距離も〞という新たな境地を開拓した。

 それを成し遂げたのが安楽宝児くんと井上絢仁くん(ともに2年)。安楽くんは100mで自己新の10秒77を出して優勝、井上くんは400mを大会新(47秒71)で制した。さらに200mはともに21秒70のトップタイムをマークした。

〝のびのび〞が好循環

 この1年で安楽くんは100mで1秒ほどタイムを縮め、井上くんは400mで5秒近く速くなった。だが、あまりに急な覚醒ゆえ、本人たちは成長の理由をつかみきれていない様子だ。安楽くんが「先輩が引退して自覚が芽生えたから?」と言えば、井上くんは「部の雰囲気が明るくなったからかも」と半信半疑だ。2人からはいわゆるトップアスリートのストイックさは感じられず。

「やっぱり、のびのび練習できる環境が良かったと思う」「確かに」と笑い合った。

 こう書くと天才エピソードのようだが、実際には地道なトレーニングを積み重ねてきた。学校周辺の坂道を利用して足腰を鍛え、陸上競技場での練習では負荷の高いインターバル走などで体力とスキルを磨いた。それがたまたま同じ時期に開花したということだろう。

目標は大きく全国の表彰台

 2人に目標を聞くと「インターハイの表彰台」と同じ答えが返ってきた。タイムでも同じく「滋賀県高校記録の更新(100m・10秒52、400m・47秒19)」を掲げている。唯一異なるのは200mの目標だ。この種目をメインに据える安楽くんは県高校記録(20秒96)を更新する「20秒8台」と答えた。インターハイの表彰台も200mで狙っているようだ。一方、400mが主の井上くんは「21秒2台」と回答。井上くんは「200mはスピード強化でやっているイメージです。だから、安楽には負ける。けれど、400mなら近畿で誰にも負けないです」とはっきり答えた。

 それを受けて、安楽は「僕も200mでは近畿で誰にも負けません」と対抗する。案外、この秋の限界突破は2人のライバル関係が生み出したものかもしれない。

安楽 宝児 / 井上 絢仁

滋賀短期大学附属高校 陸上競技部

左:あんらく・たける。北大路中学校卒。現在2年。高校から陸上競技を始め、今年の県秋季総体男子100mで自己ベストを更新して優勝(10秒77)。 右:いのうえ・あやと。皇子山中学校卒。現在2年。小学4年から陸上競技を始め、今年の近畿ユース男子400mで 自己ベストを更新して2位(47秒42)。

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