2024.11.01
悩んだ末の新キャプテン就任。 全力で戦い、初代女王をめざす。
越谷 章監督
INTERVIEN
深澤つぐみは就実高校で双子の姉・めぐみと共に頭角を現し、「最強ツインズ」と称された。春高バレーで2連覇の原動力となった後、2021年11月に東レアローズへ入団(内定)する。いくつものオファーがあった中でアローズを選んだ理由は「石川真佑さんや関菜々巳さんら日本代表選手たちがおられて、すごく練習が引き締まっていました。こういう環境でバレーがしたいと思ったから」だという。石川と関は海外挑戦でチームを離れたが、トップ選手たちから「プレー面もそうですが、チームを鼓舞する声かけや練習に取り組む姿勢など多くを学ばせていただきました」と話す。その経験を、今季はキャプテンとして活かすつもりだ。
〈Q〉キャプテンになった経緯は?
越谷(章)監督から「来シーズン、キャプテンをやってみないか」という話がありました。アローズ3季目で年齢的にもチーム内で下から3番目。昨シーズンはプレーオフ進出も逃していましたし、私がキャプテンになって結果が出せるのかなぁと不安もあったので少し悩みました。アローズでの2年間を振り返りながら自問自答して、最終的には「よし!やってみるか」と。そしてやるからには絶対にいいチームにするぞと決意しました。
〈Q〉7月にはバレーボールに特化した新会社も設立されました。
会社の設立もそうですし、大同生命SV女子というプロリーグが始まることも含めて、やっぱり結果にすごくこだわりたいという気持ちが強くなりました。チーム名に「滋賀」が加わり、滋賀を背負って戦う意識も強くなりました。また、ファンあってのプロですし、皆さんに応援していただけるようなチームを作っていきたいと思っています。
〈Q〉新リーグへの意気込みを。
個人的にはすごく楽しみです。大同生命SV女子が始まるタイミングでキャプテンをやらせていただくということもあって、すごく気合いが入っています。また、メンバー全員がチームのことを考えていますので、良いチームになる予感もあります。
〈Q〉ホーム開幕戦では昨シーズンの女王・NECと戦います。
アローズは昨シーズンのレギュラーシーズン8位でプレーオフに残れかなかった。だから、ホーム開幕戦のカードに関しては「女王vs下位チーム」という風に周りからは見られるかもしれない。でも、アローズは新しく生まれ変わっていますし、女王にどれだけ通用するかを示す良い機会だとも思っています。全力で勝ちに行きますし、アローズは若いチームなのでここで2勝できれば勢い付くとも思います。ぜひ、アリーナに足を運んでいただき、私たちと一緒に戦ってほしいと思います。
〈Q〉新リーグについての感想は?
新リーグによって日本のバレーボール界もプロ化が進んでいく。東レアローズも「滋賀」という地域名を背負うことで、今までよりも意識や活動を外へ向けていく必要があると思っています。また、バレーの魅力を発信する使命感も感じています。個人的には監督昇格から今年で5シーズン目です。前身のリーグでは2位が2回で優勝経験がありません。新リーグではチーム数が大幅に増え(14チーム)、試合数も今までの2倍以上になります。厳しい戦いになるとは思いますが、ぜひ優勝を勝ち取りたいと思っています。
〈Q〉長年にわたってアローズを見てこられましたが、今までと比べて今年はどんなチームでしょうか?
とにかく明るく元気です。非常にポジティブな選手が揃っていると思いますし、私が監督になってから最もまとまりがあるというか、一体感があると感じます。
〈Q〉バレーボールではどんな特徴がありますでしょうか?
攻撃面は昨シーズンの得点王であるシルビア(・チネロ・ヌワカロール)がいます。ただ、試合数が増えると、彼女だけに頼るのではなく全員が攻撃に参加する必要があると思います。オフシーズンからそういうチーム作りをしてきました。あとはテンポが速いバレーです。相手ブロッカーを分散させ、的を絞らせないという狙いがありますが、監督人生の中で最もテンポが速いチームだと思います。
〈Q〉今シーズンの目標は?
優勝です。そのためにはプレーオフまでにチームをどう育てられるかがカギだと思います。もちろん、全試合、全力で戦うのですが、最初から飛ばし過ぎてプレーオフで息切れしてはいけませんので。その過程においてホーム開幕のNEC戦は非常に大事になると考えています。昨シーズンの女王に勝てば、うまくプラスの方向にチームを持っていける可能性も高まりますからね。応援してくださる方々と一緒になって、滋賀を盛り上げていくためにも最初のホームゲームで負けるわけにはいかないと思っています。
試合数が倍増する新リーグ。
今季の順位予想は難しい…
14チームが参加する大同生命SV女子。レギュラーシーズンは10月12日から翌年4月13日まで。上位8チームが4月第3週からのチャンピオンシップに進出する。前身のVリーグから大きく異なるのは試合数だろう。レギュラーシーズンは約2倍の44試合(半分がホームゲーム)が行われるため、今まで以上にチーム力が試されることになる。求められるのは短期決戦を制す瞬発力ではなく、長期戦を戦い抜く持久力か。そういう意味では選手層の厚さが一つのカギになりそうだ。
優勝候補は昨シーズン無敗(22勝0敗)でファイナルに進出した大阪マーヴェラス(前JT)、そしてJTを破って2季連続で女王になったNECレッドロケッツ川崎か。とはいえ、何が起こるかわからないのが長丁場。予想よりも混戦になる可能性もありそうだ。
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深澤 つぐみ
東レアローズ滋賀
2003年4月17日生まれ、神奈川県出身。176㎝。就実高校から2021年に東レアローズへ入団(内定)。高校時代は春高バレーで2連覇を達成した。2019年にはU-18/19女子日本代表の合同強化合宿に呼ばれたが、コロナ禍で国際大会の中止が相次いだ。2022年の第21回アジアU20(ジュニア)女子選手権大会では優勝に貢献。今季、東レアローズ滋賀のキャプテンに。