2024.09.01

〝学生日本一〟へラストスロー

何がなんでも優勝したい

 昨年のインターハイでは草津東高校の渡邉 宙(九州共立大学)が王者になるなど、滋賀県のやり投はかなりハイレベルになった。それを引っ張ってきたのが山田隼人(九州共立大学4年)である。23年に出した75m 43は現在の滋賀県記録。今年7月の滋賀県選手権でも自身が持つ大会記録を更新( 73m 85)して優勝した。だが、日本インカレでは3位が2回あるものの、頂点にはまだ立っていない。

「今まで、あと少しのところで学生王者には届かなかった。今年が最後のインカレ、もう何がなんでも優勝したいです」

 やり投界のイケメンは顔をくしゃくしゃにして笑った。

 山田が〝学生王者〞にこだわる理由は高校3年までさかのぼる必要がある。大津商業高校3年だった山田はインターハイで滋賀県高校記録(当時68m 22)の更新を狙っていた。冬場には筋力トレーニングで肉体強化を図り、身体を大きくするために食事の量を増やした。スキルも磨き、万全の状態で高校最後の夏を迎えるはずだった。だが、予期せぬコロナ禍でインターハイが中止となる。

「あの時は、大学でもやり投を続けてインターハイ中止の悔しさをインカレにぶつけますとか言っていましたけど、やっぱりインターハイがなくなったのは結構ショックでしたね」

 当時、本誌の取材で山田は「5年後には(インターハイ中止を)笑い事にできるぐらい必死に努力していきたい」と話していた。その言葉通り、強者が揃う九州共立大学で努力を重ね、日本選手権に出場するほどのトップアスリートへと成長した。インカレで「何がなんでも優勝したい」という想いは誰にも負けない。

「今後は80mを狙っていきたいと思っています。でも、まだそれを達成できるベースが全然作れていないので、インカレではできるだけ80mに近づけるように頑張るつもりです。でも、今回のインカレは記録よりもやっぱり優勝です。勝負にこだわっていきたいと思います」

 7月の滋賀県選手権では試技6回うち5回目に大会記録を更新するなど勝負強さを見せた。

次はインカレだ。

山田 隼人

九州共立大学

やまだ・はやと。大津商業高校卒。22年の全日本インカレ3位(71m72)、23年の全日本インカレ4位(72m86)。今年の日本選手権11位(72m10)。23年8月にマークした75m43は滋賀県記録。今年7月の滋賀県選手権では自身の持つ大会記録を更新(73m85)。

関連記事