2024.07.01

歴史ある「瀬田の唐橋」が新拠点。楽しく、深く、ロウイングを学ぶ。

新コーチはオリンピアン

「レイクス・ロウイングクラブ」のヘッドコーチは日本代表としてアジア大会を制した杉藤洋志氏。日本代表のコーチ経験もある方が直々に子どもたちを指導するというのがこのクラブの魅力である。

 さらに2016年のリオデジャネイロ五輪に出場した中野紘志氏が新しくコーチに加わった。中野コーチは2022年から同志社大学ボート部のコーチも務めている。オリンピックをめざす競技生活からは身を引いたものの、今も国内レースで活躍する選手でもある。

「私自身は子どもの頃から水泳やサッカー、テニス、陸上などいろんなスポーツをやってきました。ロウイングを始めたのは大学からです。子どもたちがスポーツを楽しむ選択肢の中にロウイングがある環境はすばらしいと思いますし、ロウイングの楽しさを伝えていけたらうれしいです」

 日本最大の琵琶湖がある滋賀県は水上スポーツが盛んだ。レイクスターズ・ロウイングクラブの新艇庫「KARAHASHI DECK(カラハシデッキ)」がある瀬田川水域は、同志社大学や龍谷大学、京都大学、瀬田工業高校などが拠点を構えるロウイングの聖地でもある。

 脈々と続くロウイング文化の流れの中で、滋賀大学教育学部漕艇部の部員たちが交代で子どもたちをサポートしてくれるのもこの水域ならでは特徴かもしれない。

 4回生の長谷川裕一氏は「実際に漕ぎ方を子どもたちに見せます。最初は真似ですが、ふっと自分で感覚をつかむ瞬間がある。その瞬間を見られる時が楽しい」と話す。
 彦根東高校出身の伊藤旺我氏(3回生)は「教育学部の学生としては貴重な実践の場でもあります。子どもたちにどう言えば伝わるかを考えることは自分たちの学びになります」と言う。
 教育を学ぶ大学生と地域に根ざしたロウイングクラブは良い相乗効果をもたらしている。

準備から片付けまで

 このクラブでは本格的な競技用ボートから安定性の高い幅広ボートまで多彩に用意されている。初心者でも安心して参加できる新しい環境が大きな特徴である。

 小学5年からロウイングを始めた本多瀬梨さんは、一度ロウイングから離れ、中学生で復帰。この環境がもたらした好例だろう。
「またボートに乗りたくなった。今は学校でソフトボール部に所属しながら、ロウイングをやっていこうかなと考えています」

 スキルだけではなく、自ら考える力を身につけられるのもこのクラブのポイントである。

 小学5年からロウイングを始めた井尾聡佑くん(中学生)は「自分たちで準備し、その日の目標を決め、練習後には後片付けと自己分析を発表する機会もある。そういう流れを学ぶことで普段の生活でもメリハリをつけられるようになりました」と話す。

 ロウイングを通した深い学びが「レイクスターズ・ロウイングクラブ」の本当の魅力である。

杉藤 洋志

レイクスターズ ロウイングクラブ

2021年4月に公益財団法人滋賀レイクスターズの新ロウイング部門として発足。小学生からトップ選手までの一環クラブへの段階的成長、滋賀を代表するロウイングクラブをめざしている。

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