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2022.03.21

滋賀レイキッズの未来図

(左)滋賀レイキッズ プロジェクトマネージャー 山口雅己
(中央)滋賀県競技力向上対策本部 中島秀徳
(右)滋賀県スポーツ協 事務局本部 山本将

滋賀国スポのレガシーの一つとして選手が世界へ羽ばたく土壌を残したい。

「今日、私は出会いました」が励みに

2025年の滋賀国スポの開催決定(当時は2024年滋賀国体)を機に、2014年から「滋賀レイキッズ」は始まった。事業の立ち上げに尽力した中島秀徳さん(滋賀県競技力向上対策本部)は「能力の高い小学5年生を集めて世界へ羽ばたく子どもたちを育てる。そんな大きな花火を打ち上げて、最初は応募が500人を越えました」と懐かしむ。今も300人以上の応募があるが、やはり第1期生の応募はずば抜けている。当然、有能な選手たちが揃った。例えば、今シーズンからJ1ジュビロ磐田でプレーする古川陽介(静岡学園高校)や第40回全日本女子アイスホッケー選手権大会優勝の北村さくら(駒澤大学附属苫小牧高校)、ウエイトリフティングでインターハイ4位の徳田七海(埼玉栄高校)、同競技の堤茉央(安曇川高校/参考記事)など名前を挙げ出したらキリがない。

その中で、中島さんはアーチェリー世界ユース選手権ジュニア部門(団体)で優勝した渋谷樹里(足立新田高校)の言葉が忘れられないという。

「滋賀レイキッズは各競技団体と子どもたちの橋渡しが一つの役割です。でも、渋谷さんは修了間際まで選択競技が決まっていなかった。とはいえ、集中力が高く、コツコツ努力するのが得意な彼女が、ターゲット競技に向いていることは予想できていた。そして春から進学する皇子山中学校の近くには、アーチェリー女子団体でインターハイを優勝した大津商業高校があった。なんとか学校に頼み込みこんで体験させてもらいました。その帰り、渋谷さんに〝どうやった?〞と聞くと〝今日、私は出会いました〞と言いました。運命の競技に出会ったと。やり甲斐をすごく感じた瞬間でした」

〝種目選択型〞が功を奏す

子どもたちにとって、滋賀レイキッズの魅力の一つはいろんなスポーツを体験できることにある。初期は9種目(陸上、体操、スケート、ソフトボール、ボート、カヌー、ホッケー、フェンシング、レスリング)だったが、現在は15〜20種目に増えている。入団後に多くのスポーツを体験できるアプローチを「種目選択型」と呼ぶのだが、他府県ではあまり採用されていないらしい。なぜ滋賀県は種目選択型を採用したのだろうか。山口雅己さん(滋賀レイキッズプロジェクトマネージャー)は次のように説明する。

「京都ではカヌー、フェンシング、バドミントンの3競技に絞って子どもたちを募集します。これを競技特化型といいます。競技を絞ることでより優れた選手は集まりますが、一方で競技人口の絶対数が増えない。競技の普及も求められる滋賀県では、種目選択型が向いているように思います」

利点の一つは、入団後も今までの競技を続けられること。例えば、クラブチームでサッカーを続けながら、滋賀レイキッズにも参加するとか。山本将さん(滋賀県スポーツ協会事務局本部)は「種目選択型なら、サッカーや野球などのメジャースポーツをやっている子どもたちも集まってくる。滋賀レイキッズで新しいスポーツを始めてもいいし、能力を伸ばして今までの競技に戻ってもいい。ジュビロ磐田に内定した古川くんなどは、そのいい例だと思います」と話す。

子どもの選択肢を増やす、または競技普及を狙う点では、種目選択型の採用が正解だったのかもしれない。

選手が羽ばたける土壌を

悩みの種もある。距離の問題である。滋賀には伊吹のホッケーなどの地域に根ざしたスポーツが存在する。1981年のびわこ国体のレガシー(遺産)の一つだが、県全体に競技が普及しているのではなく地域が限定されている点が少々やっかいでもある。大津の子がホッケーをするために伊吹に通うのは困難だろう。逆に伊吹の子がボートやカヌーをするために大津に通うのは厳しい。この需要と供給のアンバランスをどう帳尻合わせするか。滋賀レイキッズが末長く愛されるための、一つの課題だろう。それを踏まえつつ、中島さんは最後にこう付け加えた。

「滋賀レイキッズという事業に期待することは2つあります。滋賀国スポのレガシーとしてこの事業が残っていくこと。そしてアスリートが世界に羽ばたくための土壌の一つになること。ゆくゆくはアスリートがずっと滋賀で活躍できる環境を整備し、文化として根付かせたいですね」

滋賀国スポを一過性のもので終わらせない。滋賀レイキッズの存在意義はここにあるのかもしれない。

アーチェリーの渋谷樹里(足立新田高校) 写真/本人提供

ウエイトリフティングの徳田七海(埼玉栄高校) 写真/本人提供

アイスホッケーの北村さくら(駒沢大学付属苫小牧高校) 写真/本人提供

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