2020.08.18
日本一をめざした1年[ボート・女子舵手付きクォドルプル]瀬田中学校
~全国への想いを誌面にぶつけろ!~
新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、インターハイや全国中学生大会(全中)が中止となった。
それに伴う県内予選なども無くなり、中・高生アスリートたちの夏が奪われた。
だが、今まで努力してきた日々が色あせることもない。
その想い、誌面にぶつけろ!
Case.09 瀬田中学校 ボート部
[ボート・女子舵手付きクォドルプル] 三宅千晴・泉野穂乃香・楠瀨こころ・北浦采芽・竹村ゆき
前年4位の大本命
昨夏の全中ボート競技(女子舵手付きクォドルプル)で、瀬田中学校が4位に入った。しかも、5人中4人が2年生の快挙だった。
その後、代替えの際に部長の竹村ゆきの(3年)をクルーに迎え、今年3月の全国選抜大会への出場権を漕手4人全員が獲得。夏の全中では、日本一の大本命と目されていた。
だが、選抜も全中も相次いで中止に。竹村は落ち込んだ。「私だけ去年のメンバーじゃない。みんなに追いつこうと頑張ってきた。なのに…。全中中止を知った時は夏もダメなのかと悲しかった」
竹村に中止を知らせた北浦采芽(3年)も、気持ちのやり場に困っていた。「昨年4位、今年は優勝と決めてやってきた。今まで練習してきたものを、私たちはどこにぶつければいいのか。気持ちを消化しきれなかった」
救いは5人の仲がよかったことだった。クルーのエンジン役である楠瀨こころ(3年)は、こんなエピソードを披露する。
「よく土・日に5人で集まって、8㎞ほど走ったりしていました。もちろん、日本一になるためです。練習は苦しかっ~全国への想いを誌面にぶつけろ!~たけど、みんなと一緒だったから乗り越えられたのかなと、今は思います」
この先、5人でクルーを組む可能性は残念ながら少ない。全員が同じ高校に進み、高校にボート部があるなど限られた条件が整わないと組めないからだ。それを理解している彼女たちは〝また一緒に乗りたい〞と安易に
は答えない。
ボートを続けたいと即答したのは泉野穂乃香(3年)だけだった。
「高校でも競技を続けたいので、全中の中止を知ってからもトレーニングを続けてきました。お借りしたローイングマシンを漕いだりして。自粛期間前よりも数字上では体力が向上しました」
一方で、コックス(舵手)の三宅千晴(3年)は、競技を続けるかどうか「迷っている」と話す。
「小学生の頃からボートをはじめ、中学ではメッチャ頑張ってきた。だから、高校ではとにかく楽しめることをやりたい」
〝迷っている〞のは楽しめることの中にボート競技も含まれているから。仲間と本気で日本一をめざした1年は、苦しくも楽しかったということかもしれない。