2020.01.10

【創刊100号特集】時代を築きし者たち[アスリート編]③

【FILE03】元プロバスケプレーヤー
[滋賀レイクスターズ アシスタントコーチ]小川伸也
レイクスの歴史を背負いし者

次に表紙を飾る時は…

 2015年5月。滋賀レイクスターズはTKbj-leagueのトップ4が集うファイナルズの舞台・有明の地を踏んだ。チーム創設7年目につかんだ悲願の大舞台。その記念すべきシーズンにキャプテンを務めたのが、現滋賀レイクスターズアシスタントコーチ小川伸也だった。

 小川はレイクスの歴史そのものだ。チーム創設の2008年に24 歳で加入し、ずっとレイクス一筋。ポイントガードとしてゲームをコントロールする一方で、キャプテンとして仲間を鼓舞したてきた。

 だが、相次ぐ怪我に悩まされ「最後の2年は5回くらい手術した苦しい思い出しかない」という。

 当時、小川が「試合に出ていない選手が偉そうに言えない。立ち位置が難しい」と、こぼしたことがある。傍目からはわかりにくい苦労Lakes Magazine 2015 Vol.45があった。有明は、この試練を乗り越えた小川にバスケの神様がくれた最後のプレゼントだった。

 現役を退いた小川は現在、ショーン・デニスHCの右腕として働いている。BリーグのコーチライセンスS級も取得し、すでに新しいバスケ人生を歩んでいる。
「Bリーグになって、選手のレベルが上がったのはもちろんですが、経験豊富なコーチが日本にやってきたことで日本のバスケ全体がレベルアップしたと感じます。ショーンさんもその一人で、スペーシングのタイミングといった技術や戦術だけではなく、本当のプロフェッショナルとは何かというメンタル的な部分を日本にもたらしてくれたと思います。レイクスで一緒に仕事をして、吸収できる部分も多いですし、勉強になりますね」

 ほぼ毎日、デニスHCと議論し、試合までに何を準備するのか、そのためにはどんな練習メニューを組めばいいかを考える。その上で、選手の心身の状態を観察し、必要ならアドバイスをしていく。ケガで苦しんだ自分の現役時代の経験が役立っているのかもしれない。
「いや、全く役立ってないですよ(笑)。今のレイクスに1年で5回も手術した選手はいないですから、参考にならない」

 選手と指導者は別。小川は一から指導者の道を歩んでいるようだ。

 そんな彼のレイクスマガジンの読み方は、少し変わっている。
「記事内のコメントだけを読んで、この選手がどんなマインドでそう話しているのかを考えますね。変? いや選手の頃からそうですよ。チームメイトが自分には直接言わないけれど、どんな思いでプレーしているのかも、コメントから察することができますから」

 アシスタントコーチとして選手を支える立場になった今も、彼のレイクスマガジン活用法は変わらない。滋賀レイクスターズの選手たちのコメントから心情を読み取り、これからも選手にできるだけ寄り添っていくに違いない。

小川 伸也

滋賀レイクスターズ

Profile/おがわ・しんや。1983年8月16日生まれ、長浜市出身。長浜市立西中学校、洛南高校、法政大学などを経て、2008年に滋賀レイクスターズへ。レイクスではポイントガードとして活躍しながら2代目キャプテンも務めた。2015年にはTKbj-leagueのファイナルズ進出へと導いた。この試合を最後に現役を引退し、現在は滋賀レイクスターズのアシスタントコーチとして選手をサポートしている。

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