2019.11.08

[硬式野球]草津リトルシニア・パンサーズ

チーム史上初の日本選手権準優勝。原動力は選手たちの”考える力”。

日本プロ野球やメジャーリーグで活躍した大家友和氏が会長を務める草津リトルシニア・パンサーズが、新たな勲章を加えた。今年8月に東京・神宮球場で開催された「第47回日本選手権大会」で準優勝を果たしたのである。リトルシニア日本選手権出場は6年ぶり6回目。準優勝はチーム史上最高位。チームを率いる西村博之監督は「指導者として大変貴重な経験でした」と、今大会を振り返る。

「今年のチームは、昨年から試合に出場している選手が多くいました。なんとか日本選手権に出場出来ればと思っていましたが、出場するだけではなく、チーム最高位の決勝まで進めました。一戦、一戦、選手たちが成長する姿を間近で見られたことに感動しました。ベンチ入りの選手だけではなく、1年生、2年生を含む選手全員でつかんだ結果だと思いました」

 チームスローガンは「夢は叶える為にある」。中学生はあくまで通過点で、その先の夢につなげたいという想いが込められている。勝利至上主義ではなく、野球を楽しくプレーするのがチームの大前提だが、勝つことを通して得ることもあると西村監督は続ける。
「勝つこと以上に、勝ちたいという気持ちを持たせることを重視しています。勝つことで自信が芽生え、それが諦めない気持ちを大切にすることにもつながるのではないかと考えています」

 そんな指導方針の中で、興味深いのが「個人アップ」の考え。副キャプテン有川元翔(仰木中学3年)は「大家さんがプレーされていたメジャーリーグでは、練習や試合前のアップはチーム全体ではなく個人個人で行うそうです。パンサーズではそれを取り入れている。自分は、20分のアップのうち、10分はランニング、残り10分はストレッチ。色々と試して、これが今は自分にあっていると考えて、それを実行しています」と話す。

 アップのメニューは、指導者のアドバイスや体との対話をしながら、選手自身が決めていくという。つまり、自分の今を把握し、メニューを考え、答えを出すという一連の習慣が身につく。そのサイクルが日本選手権でも活かされたと、キャプテンの伊藤愛都(浅井中学3年)は振り返る。
「1回戦から緊迫した試合が続いたけれど、特に準決勝はタイブレークにもつれる接戦で大きな山場でした。僕たちは過去に2回タイブレークを経験し、2回とも負けていた。その中でなぜ負けたのか、どうすれば勝利できたのかを考え、みんなで強いチームを作るにはどうすればいいかを話し合ってきた。そういう積み重ねがあの場面で活きたのかもしれません」

 1アウト満塁でスタートするタイブレーク。その1番打者となった伊藤が2塁打を放ち、パンサーズが2点を先取した。そして、その裏を耐えしのぎ、チーム初の日本選手権ファイナリストになった。
 「この経験を次につなげたい」と口を揃える伊藤と有川。”次”とは高校野球、目指すは甲子園だ。

草津リトルシニア・パンサーズ


Team Profile/2004年2月創設。元プロ野球選手の大家友和氏が主催する大家友和ベースボールクラブの中学生硬式野球チーム(リトルシニア連盟所属)として生まれた。勝つことにこだわりながらも、野球を楽しむことと文武両道をモットーに掲げる。リトルシニア日本選手権大会出場 6回、リトルシニア全国選抜大会出場6回。中学生硬式野球No.1決定戦ジャイアンツカップ2006、タイガースカップ2012年大会では全国準優勝も果たしている。

関連記事