2019.09.13

【湖国のラグビー】帝京大学ラグビーフットボール部 本郷泰司

昨年、大学選手権10連覇を逃した帝京大学。
新主将・本郷泰司の胸にあるのは「挑戦」のみ。

僕らはチャンピオンじゃない

2019年6月8日、皇子山陸上競技場。帝京大学の本郷泰司(4年)は「第18回 滋賀県ラグビー祭」の立命館大学戦で、約半年ぶりにピッチに立った。大津市出身。中学生以来となる湖国でのプレー。「いろんな方が応援に来てくださった。自分の力を出し切ろうという思いで戦いました」と振り返った。

本郷は瀬田北中学校を卒業後、日本一を目指して強豪・京都成章高校へと進学した。高校2年時には花園でベスト4、キャプテンを務めた3年時はベスト8。高校日本代表にも選ばれている。そして当時、大学選手権7連覇中の帝京大学へと進んだ。率いるのは、かつて八幡工業高校を全国区へと押し上げた岩出雅之監督。不思議な湖国の縁もあった。

大学1年から本郷は公式戦に出場していた。持ち前のハードワークを貫き、チームも大学選手権の連覇を9に伸ばした。だが、昨年の大学選手権準決勝で天理大学に敗れ、10連覇の道は絶たれてしまう。自身もその試合で負傷し、約半年のリハビリ生活を送ることになった。「天理大学に敗れたあの時、僕たちはチャンピオンではなく挑戦者になった。その悔しさを忘れることなく、日々持ち続けて、悔しさを超えていけるようにしないといけない。そのために必要なことは大学選手権優勝です」

細かいことを徹底する

本郷は王座奪還を目指す新チームのキャプテンになった。同じ学年の仲間からの推薦で決定したが「僕自身やりたい気持ちもあった」と打ち明ける。相思相愛で就任したキャプテン。本郷には改めて思うことがあるという。
「今までもハードワークはしてきたつもりですが、キャプテンになってからは、自分がチームで一番体を張ったり、自分がチームで一番走ったりということを心がけています。いくら言葉で何かを示しても、日頃から行動で示せていないと仲間に思いは伝わらない。行動があってこそ初めて言葉にも重みが出てくると思うので、そこは常に意識して
やっています」

その上で、チームでは「細かいことを徹底する」というテーマを打ち立てた。
「ラグビーだけではなくて、私生活、掃除、相手への気遣いなど、そういう部分がすべてラグビーにつながっていくと思っています。そこに気付いて、受け身ではなくて実行していける人をチームの中でどんどん作っていきたい。だから、面倒だなと思うことでも率先して動いていくことを今年はチームとして徹底しています」

その先に見据えるのは王座奪還だけではなく、日本ラグビーを盛り上げること。
「ワールドカップが日本で開催されるということは、ラグビーが盛り上がる年だと思います。僕らは大学ラグビーというステージですが、大学からも日本ラグビーを盛り上げていきたい」

そう語る本郷に「ワールドカップではやっぱり日本代表を応援するのか?」という突拍子のない質問を最後にぶつけた。すると、彼はこう答えた。
「もちろんです(笑)。でも、ニュージーランドやイングランドの試合も観てみたいですよね〜」
”ラグビー小僧”が、ちょっとだけ顔をのぞかせた。

本郷 泰司

帝京大学ラグビーフットボール部

Profile/ほんごう・たいじ。1997年9月15日生まれ、大津市出身。大学4年生。ポジションCTB。小学2年から大津ラグビースクール瀬田スポーツ少年団で競技をはじめ、瀬田北中学校、京都成章高校を経て帝京大学へ。高校日本代 表やジュニアジャパンなどアンダーカテゴリー日本代表も経験。大学1年から公式戦に出場し、大学4年の今年からキャプテンを務める。180㎝、93㎏。

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