2018.08.04
【SKETCH of 大学スポーツ特集Ⅰ】To be continued~飛躍はつづく~④
兄は大学6冠を狙うチームの主将。
妹は将来が期待されるルーキー。
それぞれの”大学王座”
男女とも多くの日本代表を輩出しているホッケーの街”伊吹”。 そこで生まれ育った畑野兄妹が今、同じ立命館大学ホッケー部に所属している。
「でも、練習時間も違いますし、特に話したりしないですよ」 と妹・朱音(1年)は言う。 兄・修平(4年)も 「日常もそうですが、特にホッケーの話は昔からしたことがない」 と話す。 案外、兄妹とはこういう関係なのかもしれない。
そんな2人だが、6月18日に起きた大阪府北部地震の時は真っ先に下宿先を訪ねて安否を確認し合ったと言う。朱音は 「顔を洗っている時に地震が起きました。 すごく揺れて不安だった時に、同じマンションで下宿している兄が駆けつけてくれた。 すごく心強かった」と振り返る。
幸い2人とも無事だったが、この地震は大阪いばらぎキャンパスを拠点にするホッケー部に大きな影響を及ぼした。 修平は当時の様子をこう言及する。
「今年、僕たちは6冠を目指しています。 関西学生春季リーグを優勝し、そして2冠目の全日本大学王座決定戦を1週間後に控えていた。 その時に地震が起こった。 安全が確認できるまで外出は基本禁止。 全く練習できないまま本番を迎えることになりました」
そんな中で初戦の早稲田を6-0で撃破。 続く準決勝ではシード校の福井工業に4-0で勝利し、決勝では天理を6-2で制し2連覇を達成した。 「相手を分析する時間がなく、福井工大戦は危ないかなと思っていた。 でも、快勝できた。 この勝利で、一つ成長できたように思います」 と修平は話す。
これで2冠達成。 残り4冠は関西学生秋季リーグ、全日本インカレ、全日本選手権、そして日本リーグ。 後ろ2つは社会人チームも参加する難関だが、修平は「学生の大会をきっちり勝って、最後の日本リーグで6冠が狙える状態にもっていきたい。自信はある」 と力強く答えた。
今年から大学生になった朱音もまた地震から1週間後の大学王座が貴重な経験の場となった。
「昔からあまり緊張しないタイプで、試合の時も”あ〜試合か〜”って思うくらいです(笑)。 緊張した記憶があるのは高3のU 18日本代表でニュージーランド代表と戦った時くらい。 直前にポジションがスイーパーに変わり、自分のミスが失点につながる、絶対に守らないといけないと思ったら緊張しました(笑)。 今年の大学王座では、4年生の最後の大会で1年生の私を使ってもらっ
ている、失点はダメだと思ったら緊張してしまいました」
結果的に、チームは準決勝で山梨学院に1-3で敗れた。 「すごく悔しかったですし、関西学生秋季リーグと全日本インカレはしっかり勝って終わりたい」 と朱音は話す。 畑野兄妹にとって今年の大学王座は、将来的に、今後を左右する大きな分岐点になるのかもしれない。
畑野修平
Profile/はたの・しゅうへい。1996年7月4日生まれ、米原市(旧伊吹町)出身。伊吹小学校、伊吹山中学、伊吹高校を経て立命館大学へ。現在4年生。高校時代は1年からレギュラーとして出場し、高校3冠に貢献。U16、U18、U21と各年代の代表を経て、大学2年の時にはシニア日本代表候補にも選出。ポジションはDF。176㎝。
畑野朱音
Profile/はたの・あかね。1999年10月19日生まれ、米原市(旧伊吹町)出身。伊吹小学校、伊吹山中学、伊吹高校を経て立命館大学へ。現在1年生。小学生で全国優勝を経験し、中学では近畿優勝、高校では1年時に国体3位、3年時にインハイ8強などを経験。U16、U18日本代表にも選出されている。ポジションはDF。160㎝。