2021.09.14

アジア記録保持者が"世界"に挑む 南井瑛翔 藤井由美子 土田真由美 宮路満英

東京2020オリンピックの余韻が残る中、8月24日には東京2020パラリンピックが開幕する。滋賀ゆかりの選手は12人。湖国にどんな感動を届けてくれるのか。今、躍動の瞬間(とき)を迎える。

3年前倒しで初パラリンピック

比叡山高校から近畿大学へ進学した守山市出身の南井瑛翔(大学1年)が、今年5月のジャパンパラ水泳競技大会の男子100mバタフライでアジア記録を樹立(1分00秒65)。50m自由形でも26秒20で自らの日本記録を塗り替え、400mメドレーリレーを含む3種目で初のパラリンピック日本代表の座を射止めた。

生まれつき、左足の足首から下がない南井は、肢体不自由障がいの中で最も軽度であるS10クラスに所属。日本の選手層が薄いと言われるクラスで、彗星のように現れた期待の逸材だ。

だが、高校を卒業したばかりと若く、東京2020大会が1年延期される前はパリ2024大会の有力選手に挙げられていた。今回も日本代表には選ばれるかどうか微妙なラインだったため、南井は代表に選ばれた時に「すごく不安でしたが、無事に選ばれてホッとしています」と胸を撫で下ろしたという。

同時に、コロナ禍の難しい情勢で迎えることを踏まえ、「大会が開催されることに感謝をして、自分の持っている力を全て出し切ります」と気を引きしめてもいる。しっかりと自分の状況を把握できているのが彼の特徴であり、大きな強みと言えそうだ。

目標は「100mバタフライで自己ベストを出し、決勝に残ること。メドレーリレーでも決勝に残れるように、仲間の足を引っ張らないようにがんばります」と話す。ここ最近、勝負強さを見せてきた成長株が、本番でどんな泳ぎを見せるか注目したい。

自己ベスト更新で初切符

2020年12月の第51回防府読売マラソンで3時間9分48秒の自己ベストを出したブラインドマラソン(視覚障がいマラソン)の藤井由美子(伴走者:上島学、武田浩志)が、初のパラリンピック出場を決めた。奇しくも、誕生日は前回の東京1964オリンピック開幕直前。運命に導かれたランナーの力走に期待が高まる。

長浜市出身。うれしい初出場

東北で活動中の土田真由美(長浜市出身)も車いすバスケットボール女子日本代表に選出。清水千浪、北田千尋とともにパラリンピック初出場。

2大会連続の夢舞台

リオ2016大会に続き、2度目のパラリンピック出場となる宮路満英。47歳の時に脳卒中で倒れ、右上下肢機能障がいと体幹機能障がいが残った元JRA調教助手は、コマンダー(指示役)を務める妻・裕美子さんと二人三脚でメダル獲得をめざす。

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