2021.08.06
【日本陸上レビュー】ニューヒロイン誕生の予感
史上初のオリンピック1年延期。凍結されたこの長い時間は、選手たちの運命をも変えてしまった。
1年越しの祭典。この難しいビッグゲームに挑んできた滋賀アスリートたちの軌跡を追う。
ニューヒロイン誕生の予感
大会2日目。この日の注目は自己ベスト9秒台の4選手が揃い踏みとなった男子100mの決勝だった。
だが、滋賀県民にとってはそれと同じくらい女子100mにも注目が集まった。先述の通り、壹岐が自己ベスト更新(11秒60)で決勝に残っていたからだ。決勝で東京2020オリンピック参加標準記録(11秒15)をクリアし、3位以内なら内定という状況だった。
壹岐は南郷中学3年時に200mで中学歴代7位(当時)の24秒50で優勝。京都橘高校3年時のインターハイ200mでも当時の高校歴代7位の記録で優勝している。今年5月の静岡国際で優勝したのも200m。その流れの中で、今回は100mのファイナリストに。そして決勝では1位にわずか0.2秒差に迫る2位。ニューヒロイン誕生を予感させる結果となった。
続いて男子100m決勝が行われた。山縣亮太や多田修平ら錚々たるメンバーが顔を連ねる中、桐生はアキレス腱痛を抱えながらスタートラインに立っていた。参加標準記録をクリアしている桐生は3位以内に入れば代表内定だったが…。結果は5位。この時点での内定はなくなった。もしオリンピック延期がなければ…。日本陸上2連覇を狙った桐生は、どよめきが止まない大阪・長居の空を見上げていた。
最終日は走幅跳で藤原孝輝(東洋大学)と山川夏輝(東武トップツアーズ)が争い、400mHで山本亜美(立命館大学)が初優勝した。