2017.09.02
【高校の星SP】ある夏の物語2017② 反撃の公立[水上編]
[カヌー]堅田高等学校オーパルカヌーチーム
遠藤環太・今西陸人
リベンジを誓った夏
レイクス・サポートアスリートの遠藤環太が、今西陸人(共に堅田高校2年)と組み、インターハイ(カヤックペア500m)で準優勝した。遠藤は「優勝を狙っていたけれど、あと少しで勝利を逃した」と悔しさをにじませた。
体力を温存しながら、予選、準決勝を2位で通過し、いいコンディションで決勝レースを迎えた。それを示すように遠藤は「自分たちが苦手とするスタートがばっちり決まり、最初から先頭で漕げていた。このレースパターンは初めてで、気持ちよくレースを進めることができていた」と話す。
だが、レース中盤で優勝ペアに追い越され、再び先頭に立てないままレースは終わってしまった。しかも、負けたのは年下の1年生ペア。「年下の選手に負けたことが一番辛かった。課題はレース中盤でのノビのなさ。スタートで前に出ることができても中盤で追い越されたら意味がないことがよくわかりました」と振り返る。
とはいえ、まだ2年生。 「来年もう一度チャンスはあるので、次に向かって頑張ります」とリベンジを誓った。
[ボート]瀬田工業高等学校ボート部
野々下凌央・杉原雄大
約束の優勝を逃し、悔し泣き
シングルスカルで優勝した1つ年下の島田隼輔と、インターハイ前にある約束を交わした。 「島田のシングル、オレらのダブル、両方で優勝しよう」。
島田がまず優勝し、その約15分後に野々下凌央・杉原雄大(共に瀬田工業3年)が約束を果たすべく決勝レースに挑んだ。スタートは岡山県のペアが飛び出した。 だが、じわじわと追い上げ、ラスト200mで追いついた野々下・杉原ペアだったが、わずか1秒およばなかった。ペアを組んで初出場のインターハイで準優勝は快挙だ。 それでも「島田との約束を果たせず、ただただ悔しかった」と2人は口をそろえる。レース後、野々下は号泣し、杉原は放心状態だったそうだ。
とはいえ、逆にいえば、悔し泣きできるだけ彼らは成長したとも言える。そこには島田の存在がある。
もともと野々下は瀬田中学、杉原は瀬田北中学のボート部に所属し、ライバル関係にあった。高校でも意識し合い、共に成長した。 ただ、技術はあったが2人とも身長は160㎝台と小柄でなかなか伸び悩んでもいた。そこへボート未経験者の島田が現れた。 荒削りながらパワーでは誰も敵わない。それまでの常識が変わったという。
野々下は 「島田が来るまでは先輩たちのタイムやパワー、心拍数などが自分たちの基準だった。 でも、島田はそれを当たり前のように越えていく。 部全体の基準が大きく揺らいだ」 と話す。
練習も島田に合わせ、社会人のやるUT(ユーティリゼーション)というメニューを取り入れるようになった。
杉原は 「1回の漕ぎでどれだけ進めるかを鍛えるのがUT。 ゆっくりだから正確な漕ぎ方も磨ける。でも、スロートレーニングと似た感じで大きな負荷がかかるから本当にツライ」と説明する。これを15〜20㎞、時間にして60〜90分も行うと腕はパンパン。地味だが、かなりハードな練習だ。
このUTに耐えたことで2人は急成長した。 その賜物として、初出場で2位という好結果がある。 だが、2人は最後まで 「やっぱり悔しい」と感想は曲げず。 この気持ちが大学や社会人といった次のステージでの躍進へつながるのかもしれない。