2025.08.20
〝名門・甲南〞で着実に成長した4年間。自身初の世界大会ではセミファイナル進出。
成長の要因は〝伊東先生〞&環境
彦根翔西館高校3年の時、奥野由萌はインターハイ女子100mで6位に入った。この種目で滋賀県勢がファイナリストになったのは37年ぶり。この快挙もあって、女子短距離界の名門・甲南大学から声がかかった。当時、同校陸上競技部の顧問だった村上 拓(現草津東高校)が「あの、伊東浩司さんの元に行きよる。どこまで化けるか楽しみです」と話していたのが懐かしい。甲南大学の伊東浩司顧問といえば、1998年に男子100mで10秒00をマークし、〝アジアの風〞と呼ばれたレジェンドだ。
期待通り、奥野は着実に成長した。全国大会でもファイナリストの常連となり、大学2年と3年の時には全日本インカレ3位で表彰台にも上がっている。自己ベストも更新しつづけ、昨年は11秒55まで記録を伸ばした。
「伊東先生は個人個人にあったアドバイスをしてくれます。ガチっとした人なら筋力アップをした方がいいとか。私の場合は筋力で走るタイプではないので、ウエイトをめっちゃやるより、走る系を多くした方がいいと。冬場もウエイトをやるのではなく、ソリを押して走ったりしていました」
また、甲南大学という環境も奥野を成長させた要因だという。
「東京オリンピックに出られた青山(華依)さんもいらしたし、甲南は4×100mリレーの強豪です。レベルの高い選手が集まっていて、練習で一緒に走るとスピード感もつかめますし、本番のイメージもしやすい。この環境は自分にとってすごく大きかったと思います」
〝ユニバー〞で海外レースを経験
昨年の日本選手権ではファイナリストになった。また、学生個人選手権では自己ベストの11秒55もマーク。この記録で奥野は25年7月の「FISUワールドユニバーシティゲームズ」参加標準記録を突破した。
「ユニバーの選考基準はわかりません。でも、日本代表に選んでいただいたからには結果を残して帰ってきたい。私自身、これが初めての世界大会ですし、初の海外レース。予選に出て終わり…はイヤ。できるだけ上のラウンドに進みたいと思っています」
取材から約1ヵ月後、奥野は「FISUワールドユニバーシティゲームズ」女子100mでセミファイナルに進出した。タイム的には11秒99と納得のいくものではなかったかもしれないが、次につながる〝一歩〞になったのは間違いないだろう。10月には滋賀国スポ(リレー種目)が控えている。成長した姿を県民に見せてくれることを期待したい。
-
奥野由萌
甲南大学
おくの・ゆめ。2003年10月27日生まれ、甲賀市出身。貴生川小学校、水口中学校、彦根翔西館高校を経て甲南大学へ。現在4年。小学3年から甲賀JACで陸上競技をはじめ、中学時代には全国大会に出場。高校3年のインターハイでは100m準決勝では滋賀県高校記録(11秒83)を打ち立て、湖国勢として37年ぶりのファイナリストに。名門・甲南大学でも成長を続け、日本選手権のファイナリストも経験。2025年7月には「FISUワールドユニバーシティゲームズ」に出場。