2024.07.01

祝!滋賀レイクス B1復帰&B2優勝

プレーオフの怖さを知る

 昨シーズンのB1リーグ最終節。滋賀レイクスは京都ハンナリーズに敗れてクラブ史上初のB2降格となった。最後まで声を枯らしながら声援を送り続けたブースターは悲しみの涙に暮れていた。

 チーム唯一の滋賀県出身選手である森山修斗は「あの光景を忘れられない。レイクスをB1に戻すためなら何でもやる」との強い想いで今シーズンを戦ってきた。

 そして5月、いよいよ昇格をかけたプレーオフを迎える。西地区優勝を果たしたレイクスはクォーターファイナルとB1昇格が決まるセミファイナルをホームで戦える権利を得ていた。第一関門の相手はB1ライセンス交付が承認されていない青森ワッツ。モチベーション的にはレイクスの優勢かと思われたが、蓋を開けてみれば青森の闘争心にレイクスが面食らう展開となった。GAME1の序盤から青森の猛攻を受けたレイクスは前半を10点ビハインドで終える。第4Qでレイクスは盛り返したものの、最終84-88でこのゲームを落としてしまった。

 次に負ければ終わる。プレーオフ特有の緊張感が漂った青森とのGAME2はキーファー・ラベナがBリーグでのキャリアハイとなる30得点でチームをけん引し、なんとか前日のリベンジを果たした。

 そして運命のGAME3。競った展開が続いた中、最終Qの勝負所でキャプテン柏倉哲平が3Pシュートを決めて相手の戦意を削ぐと、最後は92-79と点差を広げた。試合後、柏倉は「正直どこまで苦しめばよいのかと思った。でも、ブースターのみなさんが後押ししてくれ、その気持ちに応えたいという想いで戦った。勝利できて良かった」と振り返った。

悪夢を払拭した週末

 2024年5月12日。この日をレイクスに関わる全ての人は忘れないだろう。B2降格という悪夢を払拭した日だからだ。

 山形ワイヴァンズとのGAME1に勝利したレイクスはこの日、勝てばB1復帰という状況だった。滋賀ダイハツアリーナには4681人が詰めかけ、試合前からボルテージは最高潮。今シーズン最大の山場にふさわしい熱気に包まれていた。

 序盤こそ競ったゲームだったが、第1Qで10点リードに成功したレイクスは試合を優位に進めていく。古巣戦の田原隆徳や森山が気持ちの入った守備を見せると、後に日本生命 B2 PLAYOFFS 2023-24MVPに輝くジャスティン・バーレルやブロック・モータムらが加点していく展開。そして第3Qの終わりから第4Qにかけてレイクス生え抜きの野本大智がブレイク。この大一番でキャリアハイの18得点でチームを勝利へと導いた。

 そして試合終了のブザーが鳴り響いた瞬間、アリーナには地鳴りのような歓喜の声が響いた。苦楽を共にしてきた選手やスタッフはコート上で抱き合い、笑い、そして柏倉は号泣した。B2降格でもチームを見捨てずに応援を続けてきたブースターの目には昨年とは違う涙があった。

 森山は「やっと昨年の悔しい想いを清算できた」と語った。野本は「最後の景色は一生忘れません」と笑った。

 翌週、越谷アルファーズに連勝したレイクスはB2優勝というもう一つの歓喜を味わった。B2降格の悲哀は消え、「笑顔」の記憶に塗り替えられた。

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