2022.01.11
延長後半の逆転劇 草津東が頂点 【サッカー】草津東 3─2 綾羽 11月13日
まさに死闘の草津ダービー
今年で100回目の全国高校サッカー選手権。その滋賀代表を決める戦いは草津東が延長にもつれる死闘を制し2年ぶり12度目の栄冠を手にした。
序盤は綾羽のペースだった。2人、3人と連続した鋭い守備で草津東に自由を与えず、両サイドをうまく使いながら縦に速い攻撃で相手を掻き回した。だが、何度か迎えた決定機をものにできず、前半を0-0で折り返す。
後半も綾羽の優勢で進み、69分に大見翔悟(3年)のゴールでついに均衡を破った。残りは約10分。綾羽がこのまま1点リードを守り切るかと思われた79分、草津東の竹下蓮人(2年)が伊藤翔汰(2年)のクロスに合わせ、土壇場で同点に追いついた。
延長も先制は綾羽だった。前半3分に鹿取大雅(3年)が貴重な追加点を挙げ、流れは綾羽に傾倒。後半10分をしのげば優勝が決まる状況だった。だが、草津東の見せ場はここからだった。後半5分、藤田大地(3年)がコーナーキックの流れから押し込んで同点に。そして後半8分、河野晟也(2年)のゴールで逆転。激しい一戦となった〝草津ダービー〞は、草津東に軍配が挙がった。
諦めず、信じ抜いた
草津東のキャプテン石徳柊弥(3年)は、試合後に「逆転優勝に対して、まだ頭の整理が…」と話した後、「昨年は県ベスト4にも残れず悔しい思いをしましたし、うれし過ぎて言葉が出てきません」と続けた。
牛場哲郎監督も同じように、びわ湖放送のインタビューで言葉を詰まらせた。コロナ禍での選手たちの頑張りを振り返った場面だった。
「(言葉を詰まらせた理由は)緊急事態宣言が発令され、練習ができない時期もあった。合宿も行えず、実践を積む機会も少なかった。その中で、選手たちはサッカーだけではなく、学校生活でもしっかりと努力してきたと思います。そういう姿や選手たちの顔があの場面(インタビュー時)で浮かんだ。言葉が出てきませんでしたね」
部活に制限がかかったのは他校も同じだろう。ただ、〝いい意味で〞最も諦めが悪かったのは草津東だったと言えるかもしれない。
一度、控え選手たちへの報告で離れたキャプテン石徳が、再び記者陣の前に戻ってきてくれた。
「一番の勝因ですか?全員が勝てると信じていたことだと思います。2回リードされても、みんな諦めることを知らなかった。僕らはそういうチームですし、そこが強みです」
草津東は12月29日に全国大会の初戦を迎える。相手は強豪・前橋育英(群馬)だが、決してひるむことはないだろう。なぜなら目標の「全国ベスト8以上」を絶対に諦めないからである。今度は晴れの舞台で、ドラマのような躍進を見せる番だ。