2021.01.09

[激動の2020] 水口東が初の決勝進出を果たした夏

激動の2020
コロナ禍の1年を振り返る
東京オリンピックイヤーとして幕を開けた2020年。例年以上にスポーツへの注目が集まるはずだったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で大会の延期や中止が相次ぐ異様事態に。
日常生活すら困難な中、スポーツの真価が問われた激動の1年を振り返る。

足を吊る選手が続出

 戦後初めて、夏の全国高校野球選手権大会が中止となった。それに伴い、地方予選も中止に。滋賀県も例外ではなく、予選大会は取りやめとなった。

 各都道府県が独自の方式で代替大会を開く中、滋賀県では7月18日から8月14日にかけて「夏季滋賀県高等学校野球大会」が行われた。滋賀県高野連の加盟53校が参加。開催期間が約1ヶ月とやや長期化した以外は、ほぼ例年通りの大会に。現場で選手たちを支えてきた各校の監督からは「開催に向けて尽力くださった関係者に感謝したい」といった声が多く聞かれた。

 だが、いつもとは違う出来事もみられた。その一つが、足を吊る選手をよく見かけた点だ。

 本来なら夏場に備えて春頃から暑さに慣らすのだが、今年はコロナの影響で春の大事な2ヶ月間に練習が行えず。30℃を越す炎天下での熱戦に、高校球児たちの体は悲鳴をあげた。3連覇を達成した近江でさえ、1回戦ではエース田中航大(3年)が足を吊って降板している。この難しい状況で県3連覇を達成した近江は、やっぱり凄かったというほかない。

快進撃を見せた水口東

とはいえ、過酷な夏が数々のドラマを生む結果にもなった。例えば、近江期待のルーキー山田陽翔(1年)のデビューだ。1回戦の光泉カトリック戦でエース田中に代わって登板した山田は、1点を争う緊迫した中で高校野球デビュー。並の1年生なら重圧に押しつぶされそうな場面。だが、山田は堂々としたピッチングで後続を抑え、近江を勝利へと導いてみせた。

 ドラマという点では、水口東の躍進が今夏最大かもしれない。準決勝で強豪・綾羽と対戦した水口東は、1回表に1点を先制するもそれ以降は綾羽のエース早津康生(3年)に抑えられ5回まで追加点が奪えず。だが、水口東の左腕・竹嶋大星(3年)が6安打無得点、三振8つの好投を見せ、息詰まる投手戦を勝ち切った。

 試合後、竹嶋はこう振り返っている。「兄(航志)が水口東にいた頃、滋賀大会でベスト4に入った。その影響で、僕は地元から甲子園に行きたいと思って水口東を選んだ。今年は甲子園が中止になったけれど、兄の記録を抜いて県の決勝に進出できた。誇りに思います」

 水口東はその後、決勝で近江に1-6で敗れた。だが、今大会を通して見せた躍進は優勝した近江に引けを取らない輝きを放っていた。

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