2020.11.30

[陸上競技]滋賀県中学記録まで0.02秒。 湖国の短距離界に、新星現る。

滋賀県中学記録まで0.02秒。 湖国の短距離界に、新星現る。

2020年8月1日の「第79回滋賀県陸上競技選手権大会」男子100m準決勝。社会人のトップアスリートたちも参加するこの大会で、1人の中学生が10秒85という記録を打ち出した。あの桐生祥秀(日本生命)の中学記録よりも速く、現滋賀県中学記録まで0・02秒という好タイム。惜しくも4位で決勝進出は逃したものの、皇子山陸上競技場は、湖国の短距離界に突如として現れた新星にざわついた。
 中川敬貴(中主中3年)である。「10秒台を出したのはあのレースが初めてです。予選ではスタートがあまり良くなかったので、準決勝では前傾姿勢を意識したら10秒台が出ました」

 ただ、この1回だけなら〝まぐれ〞の可能性もある。それを自ら払拭するように、中川は8月29日の「全国中学生陸上競技大会2020最終選考会」でも10秒台をマークして
みせた。彼の実力は本物だったということだ。 才能開花のきっかけは、新型コロナ禍だった。中学1年時から、痛めた腰のリハビリを兼ねて体幹を鍛えてきた中で、コロナ自粛の3ヶ月間に上半身を中心に鍛え直した。「顧問の先生と相談しながら上半身の強化を図ったことでスタート時の前傾姿勢が保てるようになりまし
た。同時に、60〜80mのスピードも伸びるようになりました」
 そして次なる挑戦の舞台は、10月16日に開幕する「全国中学生陸上競技大会2020」。中川は男子100mと4×100mリレーに出場する。「全国大会に出たくても(参加記録を突破できず)出られない滋賀県の仲間(選手)たちもいる。その人たちの分までしっかり走ってくるつもりです。目標は全国大会で10秒台を出すことです」
 その先に見据えるのは10秒82の更新。つまり、滋賀県中学生新記録の樹立である。朗報を楽しみに待ちたい。

中川敬貴

野洲市立中主中学校

なかがわ・さとき。2005年4月8日生まれ、守山市出身。守山市立河西小学校卒。小学3年から陸上競技をはじめ、小学 4年から本格的に100mを始めた。小学5年の時に県の秋季大会で優勝。今年8月の滋賀県選手権で10秒85をマークした。

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