2020.02.07

【特集 女子力。】NEXT STAGE1④

[エアピストル]田畑実菜(びわこ学院大学)
NOW 茨城国体女王 ▶ NEXT 2024パリ&滋賀

警察官を超えた日

2019年の茨城国体「成年女子エアピストル」で、田畑実菜(びわこ学院大学3年)が大会新で優勝した。恩師である水口高校ライフル射撃部の永野智顧問は、その快挙を「田畑が警察官にピストルで勝ちよった!」と表現した。なかなか刺激的なフレーズに、ドキッとさせられたが、補足を聞くと”なるほど”と納得させられた。
「国体に出場できるのは近畿から2名だけ。全国でもたった15名しか出られない狭き門。ほとんどが警察官で、その中にはオリンピック候補3、4人が入っている。その状況で田畑が優勝した。それはそれは、すごいことなんです」


水口高校
永野先生がオリンピック候補と言った選手の中には、水口高校出身の山田聡子(自衛隊)もいた。田畑にとって国体優勝は偉大な先輩を超えた瞬間でもあった。

心の底から這い上がる

田畑が競技を始めたのは高校1年から。「弓道と悩んだけれど、ライフル射撃部にしました。理由?ん〜直感?(笑)。体験もせず、入部届けを出しました」。導かれるように…とは、こういうことかもしれない。なんとなく入部した田畑だったが、「コツコツとやるタイプ」という持ち味を発揮し、徐々に頭角を現す。高校2年から3年にかけて、競技用光線銃を使うビームピストルで”高校三冠”を達成。その名は、一気に全国へと広がっていった。

だが、大学進学後は伸び悩んだ。鉛の弾が出るエアピストルに変わったからではないと田畑は話す。
「びわこ学院大学はスポーツメンタルに強い学校。射撃競技に活かせると思って、心の勉強をしました。でも、最初に”心をえぐられるよ”と忠告されました。実際、心が落ち込み、カウンセラーやメンタルトレーナーに相談しながら、なんとか這い上がることができました。結果が出なかった2年間は、その影響があったと思います」

実は、今回の取材で約3年ぶりに対面した田畑は、高校時代とは別人のように明るくなっていた。後輩からも慕われ、生き生きとしていた。これも心の勉強をした影響かもしれない。

パリ経由、滋賀国スポ

国体に話を戻す。田畑は15人中、上位8人(田畑は6位通過)が進出できるファイナルに勝ち残った。ここからは下位が順に脱落していくサバイバルマッチ。緊張で本来の力が出せない選手がいる中、田畑は「ファイナルはいつも楽しい」という強心臓で、尻上がりに最高点の10点を連発していく。そして気がつけば、大会新で優勝していた。

そんな天賦の才を持つ田畑だが、目標となるネクストステージはまだ定まっていない。というのも、あと1年で大学卒業だが、社会人になって今のように競技に集中できる環境にいるかどうかが見えていないからだ。
「環境が整えば、2024年のパリ五輪には興味がある。でも、今は2024年の滋賀国スポで優勝することが目標です」。

パリ経由、滋賀国スポで優勝。そんな花道に期待したい。

田畑実菜

Profile/たばた・みな。1999年2月1日生まれ、甲賀市(土山町)出身。土山小学校、土山中学校、水口高校を経て、びわこ学院大学へ。現在3年。水口高校ライフル射撃部に入部し、ビームピストルと出会う。高校時代には選抜大会、国体、JOCカップの高校三冠を達成。2019年の茨城国体「成年女子エアピストル」では大会新で優勝した。135㎝。

[女子駅伝]滋賀チーム
NOW 23位 ▶ NEXT 11位

あえて苦言を呈す


1月12日の「皇后杯 第38回全国女子駅伝」で滋賀が23位に入った。昨年の35位から順位を上げ、吉居克広監督は「中高校生が多いチームでよく頑張ったと思います。将来につながる下地づくりとしてはよかった」と選手たちを讃えた。

だが、1月末の大阪国際女子マラソンで現役引退を表明していた大塚製薬・井上彩花(滋賀学園卒)は、これからの滋賀チームに期待を込めて、あえて苦言を呈した。
「比叡山高校のメンバーを中心に、若い選手がよく頑張ったと思います。でも、23位。私が滋賀学園高校3年の時は12位。今もそれが滋賀の最高順位なので、ぜひとも次はその記録を更新してほしい」

11位、そしてその先へ。それが滋賀のネクストステージである。

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