2019.08.09
【勝負の夏】瀬田工業高校[柔道部]
56年ぶりの夏舞台。
感極まった春の団体戦
瀬田工業高校柔道部を率いて21年目。南睦志監督は 「号泣しました」 と言う。 5月下旬に行われた春季総体の団体戦を制した瞬間の話である。
「今まで団体戦では比叡山や近江という私立の強豪校に優勝を阻まれてきた。 練習時間や環境が違う中で、部員たちが努力を惜しまず、諦めずに勝ち取った優勝です。 それを見てきたので、優勝の瞬間は言葉では言い表せないような感情がこみ上げてきました」
主将の谷口翼(3年・粟津中学出身)は 「今の3年は11人と多い。 1年の頃から先輩に”お前らが3年の時に全国に出ろ”と言われてきた。 主将として、部を優勝へ導けた時はホッとしました」 と話す。
春季総体では準決勝で比叡山高校を破り、決勝では近江高校を下した。団体戦と個人戦(81キロ級)の両方でインターハイに出場する森本大悟(3年・八幡中学出身)は、高校1年からこの日を見据えて練習にはげんできたと振り返る。
「ほぼ毎日、居残りでロープ登りを25往復ほどやってきた。息が上がるくらいのペースで4キロほど走り込んだ時期もある。 その努力が優勝という形で報われた。 インターハイで自分がどこまで通用するか試したい」
森本が小学4年から柔道を始めたのは父の影響だった。父からは楽しさと厳しさの両方を教わった。その父から、県優勝の際に”よくやった”と言葉をかけられ、森本は頬を濡らした。
磨いてきた"寝技"を武器に
兄弟でインターハイ出場の目標を果たした部員もいる。 甲西北中学出身の大迫力也(3年)と翔(2年)だ。
2人の父は近江高校柔道部OB。 兄・力也は 「自分も近江にいくか悩みました。 でも、中学時代に瀬田工の練習に参加させていただき、前監督の杉谷(輝行)先生から声をかけていただいた。 指導法にも魅力を感じ、瀬田工で全国に行きたいと思った」 と話す。
その兄を追って、弟・翔も翌年に瀬田工業の門を叩いた。 「兄と一緒に全国に行こうと決めた。 2年生で団体戦の中堅を任され、緊張もあったけれど目標を達成できた。 インターハイでは自分の力を全て出し切りたい」
2人は春季総体の決勝で父の母校である近江を下したことになる。 その時 「瀬田工の選択は間違っていなかった」 と思った。
瀬田工業の強みは”寝技”にある。 世界柔道選手権覇者の藤猪省太氏の指導を仰ぎながら、技を磨いてきた。 だが、公立は練習時間が限られている。 それを補うために、部活とは別でブラジリアン柔術を習う部員もいた。 団体戦の副将を任された西岡拓音(3年・田上中学出身)もその一人だ。
「中学の頃は個人戦で全国ベスト16に入った。 でも、高校では私立と練習量も違うので結果が出せなかった。 それを補うために、ブラジリアン柔術を習いはじめた。 柔道に活かせる寝技も多く、成長につながったと思います」
その努力の花を、今度は全国で咲かせる。
全国大会
インターハイ柔道競技
8月9日(金)~13日(火)
@鹿児島アリーナ