2018.06.02

【SKETCH of 中学スポーツ】中学スポーツの現在地①

部活の週休2日、町クラブの台頭など、大きな曲がり角に差し掛かっている日本の中学スポーツ。
滋賀ではどんな動きがあるのか。 サッカー、バスケットボール、陸上を中心に“現在地”を探ってみた。

なぜ部活は週休2日に?

今年3月。 スポーツ庁から 「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」 が出された。 対象は、主に義務教育である中学校の運動部。 滋賀も「このガイドラインをもとに進める」と、佐々生勇滋賀県中学校体育連盟理事長は話す。

本書は、指導の手引きや地域との連携など内容は多岐にわたる。 ここでは、最も影響があるであろう”週休2日”をテーマに話していきたい。

ガイドラインには 「週当たり2日以上の休養日を設ける」 と表記されている。平日1日、土・日(週末)1日以上を休養日にあて、週末に大会などがある場合は振替休日を設けるように勧められている。 活動時間は、長くても平日2時間程度、学校の休業日は3時間程度と定められている。 朝練禁止と明記されてはいないが、平日約2時間を考慮すると必然的に朝練はできなくなる。

ある中学バスケ関係者は 「朝は走り込みなどの体力強化、放課後はスキルアップにあてていたので、時間配分が難しくなった」 と嘆く。

では、そもそもなぜ週休2日にする必要があったのだろうか。 ガイドラインには 「成長期にある生徒が、運動、食事、休養及び睡眠のバランスのとれた生活を送ることができるよう、『スポーツ医・科学の観点からのジュニア期におけるスポーツ活動時間について』の研究(公益財団法人日本体育協会)も踏まえ、以下を基準とする」 と書かれている。

つまり、スポーツ医・科学の観点から中学生年代には適切な休養日が必要。過度な練習は故障リスクを高め、体力・運動能力の向上につながらない。 で、週休2日になった。

独自の道を歩む3競技

週休2日で部活がどう変わったか。まだ始まったばかりで、その答えを導くのは難しい。 強くなった弱くなったという議論だけではなく、勉強の成績が上がったとか、芸術分野で開花したとか、スポーツ以外の時間の活用を視野に入れると、明確な答えを導き出すことはできないのかもしれない。

それを前提に、滋賀県の中学スポーツを眺めてみる。 と、活発な動きのある競技が3つある。 一つはサッカーだ。

ざっくり言うと、サッカーは部活とクラブチームの二極化が進んでいる。 原則として部活とクラブチームの二重登録ができないため、子どもたちはどちらかを選択しないといけない。 Jクラブのない滋賀県では、ここ10年で町クラブ数が約2倍に増えている。 クラブチームの競技レベルも年々向上し、より専門性を高めたい子どもたちはクラブチームを選択する傾向にあるようだ。

二つ目は、バスケである。 2016年にBリーグが始まり、日本のバスケ界は大きく変化した。 新しいプロリーグが始まっただけではなく、高校・中学・小学校にもメスが入りつつある。特にU-15と呼ばれる中学生年代では、Bクラブに下部組織の体制が整ってきた。 滋賀レイクスターズにもすでにユースチーム(U-15)は存在している。 今年9月にはクラブチームと部活がしのぎを削る新リーグが始まる予定。 滋賀の中学バスケ界は大きく揺れている。

最後は陸上。 日本人最速の桐生祥秀(日本生命)をはじめ、名選手を多く輩出している滋賀の中学陸上界は、どういう方針で選手を育てているのか。 この3競技を掘り下げ、滋賀の中学スポーツの現在地を考えていきたい。

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