2025.10.08

〝新人王〞に、オレはなる!

 昨年12月下旬に神奈川大学を中退して滋賀レイクスにやってきた長谷川比源は、チーム合流4日後にプロデビューを果たした。3Pシュート2本を沈めて強烈なインパクトを残し、翌日にはスターティングファイブに大抜擢。この2日間でレイクスブースターのハートを鷲掴みしてみせた。

 そして3月のファイティングイーグルス名古屋戦ではキャリアハイの16得点。4月の佐賀バルーナーズ戦ではダブルダブル(10得点・11リバウンド)も達成。今オフにはジョーンズカップ日本代表に選出され、アメリカ国外の若手を対象とした「2025 NBAGリーグ インターナショナルドラフト」でも指名を受けた。

 話題性たっぷり。そんな20歳は今シーズンの一つの目標として「新人王」を掲げている。

〈Q〉 NBAへの夢が具体化した中で迎える新シーズンの目標は?

「チームとしては勝率5割以上をめざしていますが、個人的には優勝を狙っています。そして新人王を獲得できると思っている。開幕からチームを引っ張っていきたい」

〈Q〉 今シーズンは主力としてやっていく覚悟がある?

「もちろんです。昨シーズン途中から加入して、最初はアマチュアからプロになって慣れない部分もあったけれど、アグレッシブにやれば年齢に関係なく通用すると感じた。初めて開幕から1シーズンをフルで戦う中で真価が問われるだろうし、そこで自分の力を証明していかないといけないと思う」

〈Q〉 新人王に向けて課題は?

「もっと上のレベルに行くにはハンドル(ハンドリング技術)を磨いて、自分からオフェンスをクリエイトできないといけないのかなと思います。この身長(202㎝)でパスをさばけたり、自分でスコアできたりすれば、オフェンスの幅も広がるし、相手としても守りづらいと思うので。世界的に見れば同じ身長でオフェンスをクリエイトできる選手はいっぱいいますから。ディフェンス面は外国籍選手を1対1で守るスキルやフィジカルが課題だと思っています。オフシーズンには重点的に高めてきました。ディフェンスでも〝価値のある〞プレーヤーになりたいです」

〈Q〉 数字的な目標はある?

「1試合平均で二桁得点です。昨シーズンの後半は平均10得点近くを残せた。今シーズンは外国籍選手に次ぐ得点源としてチームを引っ張っていきたい。今シーズンも応援よろしくお願いします」
 
20歳となって迎えるルーキーシーズン。彼がアリーナの主役になる。

「基準になる」をめざして

 Bプレミア参入決定やホームゲーム最多入場者記録の更新(5064人)などクラブとして大きく成長した滋賀レイクス。だが、チームとしてはレギュラーシーズン8勝51敗で西地区最下位という苦いシーズンとなった。「勝率5割」を目標に掲げる今シーズン。前田健滋朗HCはどんな青写真を描いているのだろうか。

〈Q〉 今シーズンに向けての改善点を教えてください。

「昨シーズンは(ディフェンス面で)レイアップによる失点がリーグワーストでした。そもそもレイアップを相手に撃たせない、撃たれたとしても難しい状況に持っていく。一つはそこの改善が挙げられます。もう一つはディフェンスリバウンド。これもリーグワーストでした。もちろん探せば課題はいっぱいありますが、主にこの2つを改善することでディフェンス力の向上につながると思っています」

〈Q〉 目標の「勝率5割」を達成するためにオフシーズンはどんなテーマを掲げていましたか。

「シーズン30勝を達成するための〝基準〞作りです。長いシーズンの中ではいい時もあれば、うまくいかない時期や選手自身が望んでいないプレーを求めることがあるかもしれません。でも、どんな状況下でもレイクスのバスケを再現できるように、チームとして基準を作っていく、それがシーズンの中で〝基準になる〞と思って取り組んできました。基準になるとは、例えば飲食店を開店したとして、どういったクオリティの接客をするかといった基準を作るのと同じだと思います。それを達成しようとして取り組んだ結果、それが基準になっている。新しい従業員が入ってきてもその基準は変わらないと思います。そういうものをレイクスとして積み重ねていくことが、将来的に揺らぐことのないカルチャーになると信じています」

 勝利を追求しながら、ウイニングカルチャーの構築をめざす。今シーズンはそういう1年となる。

〝ザック様〞に期待大

 来シーズン開幕の「Bプレミア」を見据える中で、前田HCがめざす「速いバスケ」をどこまでチームに浸透させられるかが今シーズンのテーマとなる。野本大智や常田耕平、游艾喆ら昨シーズンからの既存選手が多い中で、キーマンとなるのは新加入のザック・オーガストだろう。今オフにアメリカ代表に招集された実力者は、チーム課題のインサイドで攻守にわたる活躍が期待されている。10月12日・13日の京都ハンナリーズ戦から、滋賀のホームコートを熱くする。

©SHIGA LAKES

左:前田健滋朗HC 右:長谷川比源

滋賀レイクス

左:昨シーズンから滋賀のヘッドコーチ(HC)に就任。 2017-18シーズンにはACとしてアルバルク東京のチャンピオンシップ優勝に貢献した。長崎ヴェルカ時代にはB3からB1まで最短昇格させるなど手腕を発揮した。           右:2005年5月10日生まれ、神奈川県出身。神奈川大学を中退し昨年12月に滋賀レイクスへ。19歳でダブルダブル(10得点11リバウンド)達成など活躍。今オフにはジョーンズカップ日本代表選出。「2025 NBA Gリーグ インターナショナルドラフト」でニューヨーク・ニックス傘下ウェストチェスター・ニックスから10位指名を受けるなど話題を集めた(その後のトレードで交渉権がデトロイト・ピストンズ傘下のモーターシティ・クルーズへ)。202㎝、85㎏

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